タイトルを見て、今回のブログのテーマがわかった人はどのくらいいらっしゃるでしょうか。ぱっとみてわかった方はかなりの韓国通、もしくは海外の大きなイベントに精通されていらっしゃる方だと思います。
私は以前、韓国資本の企業で働いていたことがあります。そのとき一緒に働いていた韓国人の同僚が、毎年このくらいの時期に休みをとって帰国をしていました。当時は特に深く考えることはなかったのですが、実は韓国ではこの時期に、1年のなかで2番目に大きな、そして重要な節目といわれる行事があります。今回は隣国、韓国のイベントについて、日本のとあるイベントと絡めてご紹介いたします。
秋夕ってなに?
さてタイトルの秋夕ですが、「チュソク」と読みます。韓国語での表記は「추석」となるようです。秋夕(チュソク)は旧暦8月15日に当たる日のことで、今年は9月8日になります。
基本的にその前後の1日ずつも休日となるため、今年は9月7日から9月10日までが秋夕(チュソク)のための連休となります。(10日の水曜日は、7日が日曜日に当たっているため振替休日となるようです。)多くの韓国人は、秋夕(チュソク)になると親族と過ごすために帰郷するようです。
同時に、この時期は「仲秋の名月」でもあります。一年のうちでもっと大きく綺麗といわれる月を見ながら、今年の豊作を祝い、来年の豊作を祈る、、、秋夕(チュソク)にはそのような収穫祭の意味も多分に含まれるようです。そして自然と同じように、我々の生活を見守り、支えてくれているご先祖様に感謝するのです。
日本にも同じような行事があります
ここまで読んでおそらくお気づきのように、日本でも「お盆」と呼ばれる期間がありますね。日本では現在で、8月13日より16日までの4日間をお盆とするのが一般的なようです。お盆の帰省ラッシュ、といった言葉もこの時期に多く聞かれます。しかし実は、地方によっては韓国同様「旧暦の8月15日」前後をお盆とする地域も残っているようです。私の周りにはいなかったのですが、みなさんの周りには、もしかしたらいらっしゃるかも知れませんね。
このように、時期こそ違えど我々日本人も実家に帰り、祖先のお墓参りや親族との交流、そして盆踊りのような祭典を楽しみます。とても似ていると思いませんか?
では、これらの行事「秋夕(チュソク)とお盆」の起源はどのように整理されているのでしょうか?
秋夕(チュソク)
こちらは、月に対する信仰、収穫に対する感謝や祈りが起源と考えられています。太陽が昼の絶対的な存在であるのに対し、月は日によってその形をかえ、暗い夜を明るく照らしてくれるありがたい存在として大切にされていました。そして十五夜の月の中でも、最大の満月となる旧暦8月15日には、古くから盛大な祭りが行われ、その風習が現在まで続いているといわれています。
お盆
こちらは仏教のある行事を起源にもつと考えられています。それは「盂蘭盆(ウランバナ)」という、地獄の苦しみをうけている人々をその苦しみから救いたいという行事、そのために現世であるこの世から祈りを捧げる。そのような行事が起源といわれています。それが、今の自分があるのはご先祖さまのお陰であると感謝する、先祖崇拝の心と合体したものだそうです。
始まりこそ違え、似たような意味合いを持っているこの2つの行事ですが、最近では、そこまで格式張った、あるいは伝統的な家族的行事といった祝い方をしない家庭も出てきています。そのような流れも、韓国と日本で同じ状況ですね。
最後に
いかがでしたか?
これまではその国独自のイベントや祭典をご紹介してきましたが、場所や時間は違っても「共通している風習」というのも世界にはあるようです。ちなみに韓国で、1年の中で最も盛大な行事は旧正月(ソルラルと呼ぶようです)ということでした。
多少古い言葉かもしれませんが、日本でも想定外に嬉しいことがあったときには「盆と暮れが一緒に来たようだ」といいますが、異なる国に住む我々が同じ時期を節目として大切に思い、祖先や家族に思いをはせる、というのはよくよく考えてみると不思議なことのように思えます。そして同時に、同じ人としての共通項のようにも思え、このような小さな気づきであっても、世界を身近に感じさせてくれる一歩といえるのかもしれません。