フィンランド豊かさのメソッド

フィンランドといえば、美しい森と湖、サンタクロース、ムーミン、ノキア、ノルディックスキー・・・そして何より「社会福祉」がとても充実しているイメージがありますよね。

また、フィンランドは世界の学力上位国としても有名です。すこし前ですが、2004年に経済協力開発機構(OECD)の国際的な学習到達度調査(PISA)で、フィンランドの中学生が総合読解力や数値的リテラシーや科学的リテラシーなども含め、世界トップの成績を収めました。それ以来、フィンランドの教育は世界中で注目が集まってきたようです。

そして「国際競争ランキング(IMD)*」でも、フィンランドはトップクラスです。2013年のランキングでは、1位スイス 2位シンガポールに続いて、3位にフィンランドがあがっています。インフラ・教育・労働市場・金融サービス・ビジネスなどの項目から分析するそうなのですが、なかでもフィンランドが高く評価されたのは「教育」だそうです。

*出典:The Global Competitiveness Report 2013-2014 http://www3.weforum.org/docs/GCR2013-14/GCR_Rankings_2013-14.pdf

どうして、この小さなゆったりした国の「フィンランド」の教育が高く評価されるのでしょうか?何か独別なメソッドがあるのでしょうか。こちらの本にそのヒントがありましたので、ご紹介したいと思います。

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先ずはフィンランドの場所をチェック!

フィンランドは北欧の国の1つ、日本からは直行便で9時間30分かかります。スウェーデンとロシアの間に位置していて、日本から1番ちかいヨーロッパの国なのです。国土の約70%は森林、10%が湖、どこにいっても美しい森林と湖が広がっています。

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学力1位のフィンランド方式?

1.クラス少人数制と工夫をこらしたクラス編成

小学1年生の1クラスの人数は20名前後と、日本と比べて少ない。また、1クラスにたいして、教師が1人に加えて、アシスタントが1人教室の後ろで見守ってくれるそうです。フィンランドでは、身体の障害や病気を抱える子、そして学習障害がある子ども達のクラスには特別なアシスタントをつけるのが普通。言葉のわからない外国人の子がいる場合は、慣れるまでクラスに通訳をおいてくれます。

また、授業をしやすくするために教科によってはクラスを二つに分けて行う工夫もあるとか。朝8時からグループAが登校して、グループBは9時から登校。10人の生徒に大人が2人なので十分目が行き届くし、子どもたちの理解が深まるということ。

一人一人ののモティベーションをキープしながら、できない子をつくらないようになっているのですね。

2.校則なし!あまりに自由な中学と高校生活?!

中学高校では制服も校則もないに等しいそうです。子どもたちは中学生ともなると、女の子はメイクやお洒落に余念がないし、お酒やたばこに興味をもちはじめるのだとか。かなり早熟ですね(笑)。

高校にはクラスの枠はなく、大学のような単位制をとっている為、3年ではなく、自分のペースにあわせて3年半や4年かけて卒業する人もいるようです。

生活も学校ものんびりしていて、リラックスムード。宿題は毎日あってもそれほど時間をかけている様子はみられないし、公立学校の授業時間数も他国と比べると少ない。夏休みは2ヵ月半。

なんとも自由でゆったりで羨ましいです!

3.フィンランドと日本の大学システムの違い

フィンランドでは、総合大学と高等職業専門学校があります。総合大学は学科によっては、日本以上に入るのが難しいとか。高等職業専門学校は、日本の専門学校に近く、職業に結びついたエンジニアやコンピュータープログラマーや幼児教育者育成などがあります。

日本との違いはいろいろ

入学試験は、高校での勉強のほかに、これから選考したい分野の専門知識が問われます。入学平均年齢は23才、日本だったら大学を卒業する年ですよね。必修科目はあるが1年でとるべき単位数はなく、自分のペースで自由にでき、学年制はなし。他の学部の授業も興味があればとることも可能だそうです。

そして何より、大学授業料はすべて無料!だから、10年以上かけてゆっくり修士を取る人もいれば、3年で効率よく勉強して修士を取得する人もいる。その上、大学内の医療も無料、交通機関の運賃は半額だし、美術館や美容院をはじめ、様々なところで割引のサービスがある。更に、17歳以上の学生であれば、海外にいようと親と住んでいようと、親の収入が高かろうと、ある一定の生活援助が与えられ、返済義務もないというのです。基本、贅沢な生活をしなければ生活援助だけでなんとか生活していけるのです。

なんて素晴らしいのでしょう!!!確かに、フィンランドは学生にとってもやさしい国。

フィンランドの「教師の質の高さ」

教師課程をうけるには修士論文以外に、専門科目をほぼ終了していることが前提です。書類審査を経た適正検査では、現役の教師と大学で教育学を教える講師が2人1組となって一人一人を面接し、経歴や勉強のことから最近の教育問題まで議論していくそうです。それが終わるとグループでのテーマ議論があり、人の意見に耳をかたむけられるのか、柔軟性、協調性、社会性、などなど、さまざまな資質がここで審査されるとのこと。

フィンランドでは、教師は伝統的に人気の高い職業であること。厳しい審査をくぐり抜けた、質の高い人材が集まってくるのですね。

学ぶことは自分のため

フィンランドでは、「学ぶことは自分のため」という意識が徹底しています。教育方針は、何より子どもの自主性を尊重し、引き出して、自立を助けようとすること。これは、『ムーミン』に登場するムーミンママやスナフキンといった、教育者ではない人でも同じ態度です。だからこそ、皆が積極的に学び続けることが出来るのだそうです。

フィンランドでは、勉強するのは子どもや大学生だけではありません。
日本と違い大人になってから、家庭をもってからも勉強する人が多いのです。

最後に

この本は、実際にフィンランドで暮らしてみた方が書かれているのですが、フィンランドにいると、「あれも勉強したい!」「これも勉強したい!」と学習意欲が高められる。前向きに考える力と、それに向かって行動する勇気、これがフィンランドから得た一番の収穫だったかもしれない、と仰っていました。

詰め込み式の勉強ではなく、問題意識をもって意欲的に勉強に取り組む。そしてそれが次の道に繋がっていくことは、本当にすばらしいと思います!

是非機会があれば読んでみてくださいね。

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