国際バカロレアセミナー@東京インターナショナルスクール

8月9日に開催された、坪谷ニュウエル郁子さん主催の国際バカロレアセミナーに参加してきました。坪谷さんは、東京インターナショナルスクールの共同代表でいらっしゃると同時に、国際バカロレア機構アジア・パシフィック地区委員も務められ、日本における教育の多様化に尽力されていらっしゃいます。最近では、「世界で生きる教育推進支援財団」も立ち上げられ、家庭の所得に関係なく、子ども達が国際バカロレアプログラムを受けられるような仕組み作りに取り組まれています。

今回のブログでは、そんな坪谷さんが企画されたワークショップとセミナーのレポートをお届けします。

ワークショップ

国際バカロレア(以下、IB)に関するセミナーには、過去に何度か参加したことがあり、また玉川学園中学の授業見学にも行ったことがあったのですが、自らがIBのプログラムを体験するのは初めてでした。今回は、東京インターナショナルスクールの先生で、IBワークショップのリーダーをされている方が、セミナーの参加者(全員大人)相手に、小4対象のプログラムをワークショップ形式で行ってくださいました。

workshop

まずは、4~5人のグループに分かれて、前日に食べたものを紙に書きだす、という作業からスタート。書き出された内容をテーブルごとに先生達がチェックして、特定の食べ物には赤線が引かれます。この赤線がどんな食べ物の下に引かれているかを、チームで話し合って答えを見つけることを求められたのですが、これがなかなかわからない!素麺に引かれてたり、お寿司に引かれてたり、お味噌汁に引かれてたり・・・。良い大人が頭を悩ませて考えたのですが、結局正解のチームはいませんでした。

先生が教えてくれた答えは「大豆食品」だったのですが、素麺やお寿司は関係ないのでは?と思ったのもつかの間、麺つゆだったり醤油には大豆が使われていますね。どおりで「何につけて食べましたか?」と聞かれた訳です。

大豆という答えがわかった後は、二人一組になって、「醤油」、「豆腐」、「納豆」がそれぞれどうやって作られるのかを紙に書くよう指示がありました。普段よく口にしているものが、どうやって作られているのか、きちんと説明できない自分に愕然としつつ、ペアになった方と醤油の作り方を議論して、紙に書きました。他の方々も、正確には作り方を理解していない方が多く、頭をひねっていらっしゃいました。

ワークショップはここで終了だったのですが、実際の4年生のクラスでは、自分達が考えた作り方で「醤油」、「豆腐」、「納豆」を作ってみるのだそうです。それで本当にできるか実験して、確かめてみるのだとか。子ども達がここまでで関われる環境は素晴らしいですね。大豆がテーマになっている時は、国語でも大豆にまつわる作文の宿題が出たり、大豆という一つのテーマを通して、科目を横断して学べるのがIBの特徴の一つ、というのも納得できました。教科書で読んで、テストに答えるだけでは身に付かない、リアルな体験と知識が体に染み込んでいくだろうな、と思います。

ワークショップの振り返り

ワークショップの振り返りでは、担当して下さった先生が、IBのPYPプログラム(初等教育)に関してお話されました。PYPは、free inquiry(自由探究)ではなく、guided inquiry(指導のもとの探究)なのだそうです。まだ何をどう探究したら良いのかわからない子ども達を、先生達が上手に導きながら、“知りたい”という気持ちを育てていくのがPYPのプログラムだと。先生達の技量が問われますね。

日本の学校ではなかなか実現が難しそうな探究学習ですが、日々の生活の中で自宅で出来ることもあるのでは?と感じました。PYPプログラムほど体系化されていなくても、子どもの中に“もっと知りたい”というモヤモヤした気持ちを家でも創り出すことは出来るのかな、と。もちろん、親の力量が問われるところではありますが・・・。PYPのワークショップを体験して、自宅でも探究学習に繋がるようなサービスを作りたいという想いが、改めて強くなりました。(←現在、CURIO Japanで開発中です!)

トークセッション

昼食を挟んで、午後はパネルディスカッション。元駐米大使の藤崎氏、東大教授の長谷川氏、坪谷氏が登壇されて、今後の「グローバル人材」についてお話をされました。

talk show

東大で始まった推薦入試のお話、今後必要になってくるリベラルアーツの授業の話、英語の必要性などなど、大変興味深いお話を伺うことができました。特に印象的だったのは、藤崎氏の下記の発言でした。

「海外に出るには、日本のことをよく知らないといけないと言うけれど、そんなことよりもまず出て行けば良い。出て行って恥をかいて覚えればいいんです。」

おっしゃる通りですね。また、日本人はもっと相手のこをと聞く力をつける必要がある、ともおっしゃっていました。相手のことを聞いて、そこに日本を馴染ませていく。それには英語+コミュニケーション能力が必須、とのこと。こちらも本当にその通りだと思います。

まとめ

午前・午後とセッションがあった長丁場でしたが、IBのワークショップ、トークセッションは大変興味深く、新たに学ぶことも多かったです。また、同じテーブルになった方々も、とても教育に対する意識の高い方々で、色々な情報交換ができて勉強になりました。まだ1歳お子さんの為に、小学校の選定を始められているご夫婦、奥様とお子さん3人をカナダに留学させていらっしゃる男性などなど、新しい出会いにも恵まれました。

CURIO Japan主催の10月のイベントで、坪谷さんにご講演頂くことになったので、ご興味ある方、ぜひお越しくださいね。詳細は後日、こちらのブログにアップします!

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