ザ・ギフティッド

14歳にして、いくつものカナダ屈指の大学から奨学金をオファーされた天才少年。以前日本のテレビでも取り上げられた大川翔君。そんな彼が本を出版したので、早速読んでみました。

4594071023

ギフティッドとは?

5歳の時に両親の仕事の都合で日本からカナダに引越し、それ以来カナダ生活している翔君は、9歳の時にカナダ政府に「ギフティッド」と認定さました。

「ギフティッド」は日本語で「天才児」と訳されることが多いのですが、翔君も本の中で書いているように、その訳だと英語のニュアンスとは少し違ってしまいます。「ギフティッド」には、“神様からギフトとして特別な才能を与えられた者。他の人には与えられなかったギフトをもらったのだから、社会に還元する必要がある”というニュアンスが含まれていますが、「天才児」にはそういう意味は込められていないようです。

カナダでは「ギフティッド」認定された子ども達には、特別なプログラムが用意され、彼らの能力をさらに伸ばすための教育が行われます。子ども達の能力に合わせて、フレキシブルに教育が受けられるのは羨ましい限りです。日本には「ギフティッド」を認定するようなシステムは現在ありませんが、日本で同じようなシステムがあれば、本来はもっともっと出来るのに、くすぶっている子ども達が目ざましい発達を遂げるのではないかと思いました。

翔君の勉強法

この本には、細かいhow toは書かれていません。勉強以外の話しの方が多く、本の前半は空手やピアノの効能、睡眠の大事さなどが書かれていて、ある意味新鮮でした。幼少時に、様々な経験をすることの大切さも説いていました。

また、彼がどのように英語を習得したか(とにかく沢山聞くことから始めたそうです)、スピーチコンテストで優勝するに至った経緯などは、とても興味深かったです。深い洞察力、分析力、行動力によって、カナダの現地高でどんどん頭角を現していく翔君は本当に逞しい!勉強ができるだけではなく、人としての幅も大きい子なのだと思いました。

翔君の両親

共働きで、両親共に忙しい家庭で育った翔君。日本に居た時は、朝8時から夜7時まで保育園生活で、翔君の教育にたっぷり時間がかけられる状況ではなかったそうです。とは言え、本を読む限り、親子関係がとっても良好で、両親とも本当によく翔君のことを観察し、サポートしている様子がよくわかりました。子どもの才能を見極め、その時に必要な教材やレッスンを受けさせていたのだろうな、と思います。

翔君が語るお父さん、お母さんの言動がとてもコミカルかつスマートで、深い愛情と絆で結ばれている家族なのだということが本の端々で感じられ、こちらまでニッコリしてしまうほどです。いつも安心できる環境があったことは、翔君の才能を開花させるのに大変役立ったのではないかと思います。

まとめ

翔君には生まれ持った才能があります。なので、この本に書かれていることを他の子ども達に応用したところで、彼ほど優秀な子に育つことはないかも知れません。とは言え、翔君のような才能に恵まれた子でも、沢山の努力をしていること、勉強ばかりではなく、家族の時間や遊ぶ時間も大切にしていることなど、バランスの取れた生活はどの家庭にも参考になるのではないかと思いました。

また、翔君のお母様が執筆された本の後半は、英語勉強法に関することに多くのページが割かれていたので、英語教育にご興味がある方にはオススメです。カナダという異国で、まず他の子ども達と同じステージに立つには言葉の習得が不可欠なので、沢山のことを試されたようです。

自分の子どもが「ギフティッド」でなくても、とても参考になる興味深い本なので、ぜひチェックしてみてください。

This entry was posted in book review. Bookmark the permalink.