グローバル人材に関する、こんな本を見つけたので、読んでみました。
コネクトビジョンという勢いのある日本のベンチャー企業で活躍する主人公。米企業買収からグローバル化に向けて、海外と日本企業の間と取り持つ主人公の会話で各章が綴られています。とてもリアルで面白いです。日米の価値観の違いを文化的且つ歴史的な背景から説明されていて、納得するものばかりです。ビジネスマンにとっては勿論のこと、グローバル人材育成に興味がある人にもすばらしい知見が満載です。
日本で大成功を収めた会社が海外にでたときに必ずぶつかる壁―
それは「文化のギャップ」なのです。
ストーリーの舞台は、ITの名だたる企業(フェイスブック、グーグル、アップル、シスコなど)が生まれたシリコンバレー。そこは、世界の縮図のような場所とも言われています。なぜなら世界のありとあらゆる地域から多様な文化背景を持った人たちが集まってできた複合社会だから。シリコンバレーで、組織や文化的な問題を解決してビジネスで成功すれば、他の地域で同じことをするのは比較的やさしいはずということで、日本企業のシリコンバレー進出、という設定で物語が始まります。
物語が進むにつれ、色々な摩擦や問題が生じるのですが、それらを5つの文化のギャップで説明されています。
5つの文化のギャップ
- 労働観ギャップ・・・「働く」ことに対する認識はどう違うのか
- 組織のギャップ・・・組織の成り立ち方や構造はどう違うのか
- 人材育成のギャップ・・・人を育てるための考え方はどう違うのか
- コミュニケーションのギャップ・・・メッセージの伝え方はどう違うのか
- リーダーシップのギャップ・・・理想的なリーダーのあり方はどう違うのか
例えば、労働観ギャップ。日本は休暇を取ることを後ろめたく感じる人が多い反面、アメリカでは忙しいときにでも堂々と休暇をとる、などの違いはどこからくるのかをわかりやすく解説してくれています。日本ではひたむきに仕事をすることが人格形成につながるのだという考えがありますが、この倫理観を共感できるひとは世界では稀であるということを理解しておくべきなのですね。
労働観ギャップ一つをとっても、プライベートを優先させる、家族との時間を確保する、働かされるのが嫌い、自由を尊重する、運命を選ぶ自由がある、などの考え方の違いを理解することが重要だと気付かされます。
日米間のコミュニケーションギャップ
日米コミュニケーションのギャップは、3軸で違いを考えるそうです。
- メッセージを伝える責任・・ 話し手か、聞き手か
- 表現のスタイル・・・ 直接か、関接か/言語か、非言語か
- マインドセット・・・ ポジティブ志向か、ネガティブ志向か
日本人とアメリカ人がそれぞれの典型的なスタイルで会議すれば、意思の疎通はほとんど不可能になるそうです。会議で静かな日本人は、アメリカのビジネスマンから見ると不思議だとよく言われますが、小さいころからコミュニケーションギャップを意識して、自分の意見を話せるような場を作ってあげると良いのかも知れませんね。
企業のなかでのストーリーではありますが、日常の子どもとのコミュニケーションや世界で活躍するためのグローバルマインド育成においても、役に立つtipsが盛りだくさんでした。ご興味あれば、ぜひ読んでみてください。