今回のインタビューは・・・シンガポールで3年間暮らしたNさん。ご主人と3歳の娘さんと一緒にシンガポールへ。現地では、トライリンガル保育園に娘さんを通わせていたそうです。シンガポールで男児を出産され、2013年8月に帰国されました。そんなNさんにシンガポールでの子育て・教育事情について伺いました。
Q:子育て、教育環境で良かったところはどこですか?
みんなが教育熱心で、小さいころから勉強をさせていた。街の人が日本よりも全体的に子どもにやさしいので、どんなレストランにでも赤ちゃんを連れていけたのは良かったです。ベビーシッターがいくらでもいるし、すぐに手配できました。必要であれば住み込みのヘルパーを安価で雇うことができるし、そのことに対する罪悪感もないし周りから白い眼で見られることもなかったです。
国家戦略の一環として、シンガポールではみんな英語を学びます。シングリッシュと揶揄されることもあるので、文法的に完璧な英語ではありませんが、伝わる程度に皆が英語を習得していく、というのが日本の座学としての英語とは違うと思いました。英語を学ぶことで、世界に羽ばたくことを可能にさせると思います。
保育園では、年少から勉強が始まる。早いかな、とも思いましたが、娘は楽しかったようで、テストも宿題も欠かさずやっていましたし、字が書けるので手紙を書けることが嬉しかったようです。
Q:子育て、教育環境で改善して欲しいと思ったところを教えて下さい。
教育熱心すぎると感じました。小さいころから勉強をさせすぎていると思います。また、英語がきれいではないのが少し気になりました。
Q:日本とシンガポールを比較して、幼稚園・学校教育における指導者や制度の違いはありますか?
教育制度が頻繁に変わる為、その分先生や生徒は振り回されることもありました。しかし、最新の研究結果が教育省のトップダウンですぐに導入されるため、日本のように20年前の研究結果が吟味の末、ようやく導入される…というようなタイムスパンではないのは良いことだと思います。競争が激しく、小学校入学後はテストの度にコース(Express/Normal/Technical)が上がったり下がったりして、それが人生に大きな影響を与えていくから子どもたちはすり減っている印象を受けました。
Q:幼稚園・学校外における環境の違いはありましたか?
ベビーシッターはいくらでも手配可能です。誰でも利用しているので、罪悪感や後ろめたさがありませんでした。
Q:親のしつけ、子育て・教育における行動及び考え方の違いはありますか?
大金持ちがたくさんいて、きちんとしつけをしている家庭もありましたが、メイドにしつけを任せている家庭も多く、問題のある子どもを見かけることも多かったです。
Q:将来、お子様にはどのような大人になって欲しいと思いますか?また、その為に行っていることはありますか?
人に優しくできる子になってほしいと思います。できればバイリンガルに育って欲しいと思い、公文で英語を習っています。
Q:シンガポール滞在中、子育て・教育で気をつけていたことがあれば教えて下さい。
海外在住中、自宅では必ず日本語を話すようにしていました。また、日本語のイントネーションが間違っているときは放置せず逐一直すよう努めました。ふざけてイントネーションを変えている時も本当は違うよね、と都度確認をし続けました。
Q:日本の子どもと、お住まいの国の子どもを見て、大きく違うと感じる点があったら教えて下さい。
シンガポールでは、バイリンガルであるのが当たり前です。教育方法が欧米式のため、これからの国際的な要求にあっていると思います。
余談ですが、シンガポールの公立学校の教師は全て日本でいうところの文科省への採用だそうです。つまり、シンガポールの教育省全員が教師経験者。教育改革を推し進める際も、教科書を作る際も、全員現場の経験があるので、ネットワークを利用して意見を聞いたり、実際の声を吸い上げたりできるのです。また、教師になって1~3年経つと、三つのキャリアトラック(校長先生になる、マスター教師になる、教育省官僚になる)から自分の進みたいコースを選択することが可能だそうで、それぞれに応じたトレーニングや試験、学内役割の配分が行われたり、メンターなどが配置されたりするそうです。教師への手厚いフォローがあるのは素晴らしいですね。
Nさん、貴重なお話ありがとうございました!