グローバル人材となるために

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先日、村上憲郎さんの講演を聴きに上智大学の四谷キャンパスに行ってきました。講演のテーマは「グローバル人材となるために」。我々CURIO Japanの取り組みと一致するテーマだっただけに非常に楽しく、学びも多い時間でした。

村上憲郎さんのことは、既にご存じの方も多いと思いますが簡単にご経歴を載せておきます。
京都大学出身、日立に入社しその後外資系企業へ転職、そしてGoogle米国本社副社長と同社日本法人社長を兼任された経験を持っています。現在は、ご自身の事務所の代表として、日本を中心に活躍されているようです。最近は母校の京都大学をはじめ、様々な大学から非常勤講師のオファーが来ているそうで、教育業界でもご活躍中とのこと。

まさに「グローバル人材」というスピーカーの村上さんらしく、村上式グローバル人材の育成方法についてもお話しいただけましたのでぜひご覧ください。

そもそもグローバル人材とはどんな人なのか?

「グローバルな仕事って何?」「グローバルに働くってどういうこと?」というのは、誰もが持つ疑問だと思いますが、村上さんは非常に明快に答えていました。それは一言でまとめると、「そのときそのときに自分が必要だと思う仕事に、必要だと思う国で就くこと」ということです。

これはグローバリゼーションには3つの段階があるという考えに基づいています。

グローバル化その1 international
自国に軸足をおき、活動面では海外向けにも活動する

グローバル化その2 multinational
海外拠点をもって活動するが指揮・命令系統は本国

グローバル化その3 transnational
複数拠点でその国で行うことが最も効率的なことをその国で行う

この考え方であてはめると、まだ多くの人や企業は「multinational」のステージにいるのではないかと思いますし、国や地域で特性や強みを生かした研修制度や教育サービスが必要になってくるかもしれません。

また、今後グローバルな採用活動が増えていくにあたって、そのような世界を目指している人向けにこのような話もありました。「実務能力が徹底的に評価されるというフォーマットを勉強しておくこと。」これは「今の会社で自分の職務経歴書を飾れる仕事をやる必要がある」ということを、どれだけの人が理解しているだろうか?という言葉にも表れていました。次の会社へいくためのステップとして「誇れる職務経歴書を書く」という目的に見合うような、仕事の成果にフォーカスした仕事をどれだけの人が意識しているだろうか、ということのようで耳の痛い話だなと感じました。

グローバル人材になるための勉強法は?

村上さんの学生時代は、なんと極左の暴力学生で逮捕歴もあり、専攻は火炎瓶工学だったそうです。(※脚色なしの本人談)要は、学生時代ほとんど勉強なんてしてこなかったようです。

そしてそんな自分が社会人になって困ったときに頼りにしたのは「本」ということです。
読書をしている人は多いと思いますが、村上さんはどんな本を選ぶか?の基準を「大きい字、図が多い、薄い本」から読むというようにしていたそうです。

それは関わる分野や業務について、全体感言い換えると原理原則を学べる本を選ぶ必要があったという考えのようです。また、環境面では業務を振られて翌週には提案をしなければいけない環境であったため、そのような方法をとらざるをえなかったということです。

これは某外資コンサルにつとめている友人も同じことをいっていました。日本人の読書癖の1つに、もともと目的「●●を学びたい」をもって読書を始めたはずなのに、いつの間にかその目的が「この本をきちんと読み切りたい」ということにすり替わってしまっていることが多いようです。

確かに新しいことを学ぶ際に、難しい教科書のような本を買ってしまい、それを理解できないのにもったいないから最後まで読んでしまう、、、という経験がある人は多いかもしれません。村上さんは、そのような時間もなかったし、そもそも知らないことだらけだった中で上述のような方法にたどり着いたようです。

英語について

有名な話ですが村上さんご自身、31歳まで英語はほとんど話せなかったそうです。日本ではグローバル化=英語必須、英語=早期教育が必要という風潮が強いように感じますが、英語ができなくても(実力があれば)海外就職ができ、30歳を超えてからでも英語を身に着けることができる、というのは励みになる話だと思います。

村上さんの英語学習法は本にもなっているのですが、一番面白いと思ったのは「リスニングは筋トレ=自分の実力以上の難しい英語を聞いて、たまに簡単なものを聴く」というメソッドです。ちなみにテキスト情報は一切に見てはいけないようで、個人的にはもう少し具体的な話が聞きたかったのですが、時間切れ、、、
今回のテーマに「そこまで重要な話ではない」という時間配分でした。

まとめ

内容もさることながらお話が大変おもしろく、90分のセッションがあっという間でした。私だけでなく参加者は皆そう感じていたようで、降壇時の拍手は登壇時にくらべて3倍以上鳴っていたと思います。
今回の講演のポイントは、「全体を俯瞰すること」「100%にこだわらないこと」「情熱をもつこと」、この3つがキモだったと思います。そしてこれらのどれもがとても簡単なことだと思います。つまり努力を惜しまず、方向性を間違えなければ誰でもグローバル人材になれるのだ、そういうエールだと感じました。

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