世界の子育て/オックスフォード編

今回のインタビューは・・・イギリスのオックスフォードにお住いのCさん。イギリス人のご主人と、7歳の男の子K君、5歳の女の子Rちゃんの4人家族です。K君は公立小学校のYear3(7歳から8歳)、RちゃんはReception(4歳から5歳)に通っているそうです。

oxford

Q:オックスフォードでお子様にはどんな習い事をさせていますか?

シースカウト(K君のみ):
違う年齢の子どもとの団体行動を経験させたいため。カヤック等、リバーフロントのスポーツを習得しています。

バレエ(Rちゃんのみ):本人の希望。

水泳(二人とも): 
身体能力を鍛えるため、水に慣れさせるためにスタート。夏はキャンプに行ったり、近所の屋外プールで泳ぐことも多いので、泳げた方が安全でもあるし、本人達も楽しんでいるようです。

サッカー(息子、娘ともに): 
現在、英国の公立小学校では体育の時間が少ないので(週に1、2時間程度)、地域で友達とスポーツを学べる機会は貴重。コーチングは全て父母の無償ボランティアによるもの。娘にとっては、年齢が上がるにつれて学校で男女混じって遊ぶ機会が以前に比べて減ってくる中、男子児童に混じって活動する貴重な機会になっています。

Q:子育て、教育環境で良いところはどこですか?

父親の勤務先・場所によるものが大きいと思いますが、男性の育児参加が盛んなので、母親が働きやすい環境が整っているようです。コミュニティがしっかりしていて、ファーマーズマーケットやその他地域イベントも多いです。

また、学校では勉強だけでなく、森林学校や課外授業も盛ん(その分、アカデミックな科目の進捗速度が日本に比べて遅いのかも知れないですが)。大学都市という場所柄、親も国際色豊かなのでそれぞれ学校訪問して自国についてプレゼンしたりしているようです(例えば、Chinese New Yearにちなんで習字や中国料理体験、ユダヤ系の親によるハヌカの説明、私は日本の漢字クイズや着物の紹介、伝統的おもちゃの体験等を担当)。また、全校で短距離マラソンをして募金を集めたり、校長をはじめ教師陣を含む全員がスーパーヒーローの仮装をして登校し、その分1ポンドずつ募金し、慈善団体へ寄付するというような催しも1年に数回行なわれます。子ども達に、自分たちがいかに恵まれているかを認識させるように教師陣も努めているようです。

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Q:子育て、教育環境で改善して欲しいと思うところを教えて下さい

授業内容や指導のきめ細やかさについては多少改善すべきと思われる点もないことはありませんが、どこの国、学校にもある程度だと思います。子ども二人とも小学校にいる今は、特に不満はありません。

Q:日本とイギリスを比較して、幼稚園・学校教育における指導者や制度の違いはありますか?

娘の学年では非常にきめ細かく指導されており、国語(読み書き)の時間では能力別にグループ分けされ、常に学習スピードをモニターし、グループも必要に応じて入れ替えています。能力に差が出てくる中学年、高学年では30人の生徒をまとめて教える中(基本的に、30人の児童につき、クラス担任が一人、助手が一人の割合)、どこまできめ細かな指導が出来ているかは疑問です。特に息子のクラスは、Year3&4混合のクラスなので(日本では学年混合クラスというのはないと思いますが、英国では時々見かけます)、生徒間の能力差や年齢差がさらに大きいようです。また、英国では、塾文化が日本ほど普及していないためか(家庭教師システムはあることはありますが、公立小学校で利用する親は稀)、その分親が学校へ求めるものが大きいように思われます。テストも少なく、明らかなレベル別グループ分けもあまり行いません(個人的には、もう少し競争心を刺激するような授業内容が時々あっても良いのではないかと思いますが)。子ども達が通う学校では、宿題は毎日なく、週末前に算数問題と単語の綴りの問題が出される程度。他には、学期中に学習するテーマに沿った宿題リストが学期初めに発表され、同リストの中から好きなプロジェクトを自分で複数選んで、1学期かけて完成させるというスタイルです。日本と比べると、宿題量はだいぶ少ないのではないでしょうか。学校の教育方針としては、画一性は求められず、個人の考えが尊重されるようです。

Q:幼稚園・学校外における環境の違いはありますか?

シッターサービスもありますが、学童や保育園よりも費用がかかります。人気のあるデイケア(私立保育園・学童)はリストに登録してから数ヶ月、数年待つこともあります。ですので、子どもの小学校入学時にパートタイムに切り替える母親や、実家(義理)両親に放課後のチャイルドケアを頼るケースも多いです。親の就労時間は日本よりは短い印象がありますが、地域、職種によっては日本と変わらない人もいるはずです。場所柄、自転車、徒歩出勤する人が多いので、通勤時間が短いのは子育てをする上で非常に助かります。

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Q:親のしつけ、子育て・教育における行動及び考え方の違いはありますか?

英国で子育てし初めの頃、強く印象に残ったのは、英国の親はとにかく子どもに対して大きい声で話しかけないという点でした(勿論、危険が迫っていたり、非常にいけないことをした場合は別)。子どもの名前を遠くから呼ぶのも滅多に見かけません。子供がいけないことをした時は、「怒る」というよりも、冷静に「叱る」、「諭す」というスタンス。学問への熱心さについては、特に今の段階では、学問への熱心さは日本よりも低いと思います。美術館や博物館、劇場へ積極的に子どもを連れて行く親は多いですが、いわゆる「勉強」については私の周りでは日本ほど熱心でない様子。勉強がらみの習い事をしている子供も私の周りではまだいません。ただ、公立から私立小学校へ編入を希望している親や、私立小学校の親の間では若干状況は異なると思います。

余談ですが、イギリスではチャイルドマインダーから、幼稚園、学校に対してOFSTEDという監査機関による監査が定期的に入って、outstanding, good, needs to improveとか、色々な評価が出されるそうです(OFSTEDのサイトで一般公開)。先生たちは、子どもや親への対応以外に、こうした公的監査にも対応していかなくてはいけないので非常に大変だとのこと。特にCさんのお子さんたちが通う学校は今までoutstandingだったのが、突然2段階下の評価になってしまったので、プレッシャーが掛かっているそうです。イギリスの小学校の先生達も、かなり大変そうですね・・・。

「世界の子育て/イギリス編」、いかがでしたか?インタビューにご協力頂いたCさん、ありがとうございました!

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