6月29日(土)に開催された、Global Moms Networkのセミナーに参加してきました。タイトルは「人間力の基盤づくりのために家庭でできること。」家庭での取り組みが最も重要だと考えている私(&CURIO Japan)には、ストライクなテーマ!世界のメディアリテラシー教育やニューヨーク公共図書館に関する著書を持ち、現在ボストンで2人の小学生の子育て中でもあるジャーナリストの菅谷明子さんと、ニューヨークと東京で子育てをし、世界や日本各地で女性や女の子の支援にもあたってきた元国連職員でフリーの国際協力・ジェンダー専門家の大崎麻子さんが、家庭で、親子でできることについてお話してくださいました。
本を通してできること
お二人とも、読書の重要性を述べた後で、菅谷さんが以下のようなコメントをされていました。「日本では本には正しいことが書いてあって、それをいかに正しく理解するかということが重要視されています。でも例えば、表紙のデザインやタイトルを題材に親子で話し合ってみる、語り手が変わると本の内容がどう変わるだろう。サブキャラクターがメインになったらどういう話になるだろう、などと、親子が同じ本を読んでみて、一緒に語ることができるのではないでしょうか。そうすることによって、多角的な物の見方をする練習になります。」
確かに親子で一緒の本を読んで、感想を述べ合ったり、サブキャラクターをメインにした時のストーリー展開を想像しあったりすることはできますね。
本に関するお話の部分で、菅谷さんが「でも本は本でしかない。自転車に乗ったことがない人が、自転車の本を200冊読んでも乗れるようにはなれない。バランスが大事だとは思います。」とおっしゃっていたのが大変印象的でした。頭でっかちにならないように、本と実体験をどのように結びつけるのか、親の腕の見せ所なのかも知れません。
また、日本の図書館も、もっとカジュアルに皆が集まって、ブックレビューやブックディスカッションが出来る環境にしていくと良いのでは、というお話もされていました。図書館での読み聞かせイベントはよく見かけますが、ブックディスカッションはなかなか見ないかも?ブックディスカッションを通じて、他の人の意見を聞くことが、多角的な物の見方にも繋がるというのは、納得のいく話でした。
質問ができない子ども達
日本は高等教育に行くと、質問が出なくなる、とおっしゃる大崎さん。グループディスカッション、シェアリングは一番の学びになるので、もう少し小さい頃から出来ていると良いなと思う、とお話されました。
そのトピックに対して菅谷さんは「日本からアメリカに来た子ども達が困るのは、質問ができないことです。そういう場合、親子の会話で、多角的な視点を取り入れてみるために、色々なことについて話し合ってみると良いと思います。そして、「どうしてそう思うの」という問いかけをして、ボールを投げ返す習慣をつけていくことです。アメリカに来てすぐはディスカッションが出来なくても、数年経つとみんな出来るようになります。ディスカッションには、考える力が重要なので、家庭の中で日々実践するのが大切だと思います。ゆるいトピックで構わないので、日常的にやるのが大事です。」とのこと。普段の会話の中でも、出来ることは沢山ありますね。私も毎日の会話で、ボールを投げ返す習慣をつけよう、と強く思いました。
親の企画力
菅谷さんのお話の中で、「親の企画力」というワードが出てきました。いかに楽しさを通じで学びの機会を提供できるのか、そこはもう親の企画力次第、というお話。これには100%共感します。
友達と一緒に同じ本や映画について感想を言い合ったり、同じ作家の本を読んで意見をシェアしたり。そうやってより多くの人とシェアすることで、より多くを学ぶことが出来るのですが、これが楽しいイベントになるかどうかは、親の企画力に因る部分が大きいですね。テレビゲームやDSの魅力に負けないイベントに仕立てるには、親もかなりの知恵を絞る必要がありそうです(笑)
まとめ
これからのリーダーの資質は、共感力、行動力、倫理観、空間軸と時間軸を俯瞰して見られる力とおっしゃる菅谷さん。「でも、これらはなかなか学校では教えてくれません。それはやはり、成績が弊害になっていて、これがどのように成績に結びつくのかを考えてしまうから、なかなか積極的に学ぼうとしない。共感力や考える力を養うインセンティブがないから、学校では教えない。でも、良い大学に入って、良い会社に入っても、それは人生の点でしかありません。長い人生をどうやって生きていくかを考えた時に、共感力や考える力は一生を通して子どもを支えると思っています。」という力強い最後のコメントに、深く頷いたセミナーでした。学校で教えてくれないからこそ、「親の企画力」を駆使して、自宅でできる学びを行いたいものです。
今回のセミナーには、約50名の女性が参加されていましたが、みなさん本当に意識が高くて、前向きな方ばかりで、とても良い刺激を頂きました。グループになって意見をシェアする時に、一人の方(中学生と高校生のお子さんがいらっしゃる方)が「共通の本をトイレに置くことで、家族の会話が弾みました。知床の本を置いたら、夏休みは知床に行こうか、という話になったほどです。」とおっしゃっていたのも印象深かったです。やはり「親の企画力」が大切ですね!CURIO Japanでは、「親の企画力」のお手伝いになるようなイベントを行っていく予定ですので、ぜひお楽しみに♪