先日、湘南ゼミナールで開催された国際バカロレア勉強会に参加してみました。この数年、日本でも注目を浴びつつある国際バカロレア。下村文部科学大臣のもと、今までにないほどのスピードで教育改革が行われる中、国際バカロレア導入も一つの大きな動きになっています。
国際バカロレアとは?
1968年に国際バカロレア機構がスイスで発足。国際的に認められる大学入学資格の授与、柔軟な知性の育成と国際理解教育の促進を目的として発足しました。認定校に対して共通カリキュラムを提供し、国際バカロレア試験の実施を行っています。
2014年現在で、全世界147か国3699校が国際バカロレアのプログラムを導入しています。
国際バカロレアの理念はこんな感じです。
‐より良い世界、より平和な世界を実現するために、多文化への理解と尊重を通して、探究心、知識と思いやりのある若者を育てることを狙いとする。
‐これを実現するために国際バカロレア機構は学校、政府、国際機関などと協力しながら、国際機関などと協力しながら、国際理解の精神と厳格な評価の精神に則ったプログラムの開発に取り組む。
‐これらのプログラムは世界各国の子どもたちに自分と異なる他者もまた正しいことがあるということを理解する、積極的で思いやりがあり、生涯を通し学習を継続する人であることを奨励する。
国際バカロレアのプログラムは下記のように3つに分かれていて、それぞれのレベルで学習の目標が定められています。
- PYP (Primary Years Program: 初等教育プログラム)
- MYP (Middle Years Program: 中等教育プログラム)
- DP (Diploma Program: ディプロマプログラム)
国際バカロレアが日本で注目される理由
日本政府は“グローバル人材の育成”に注力するため、小・中・高を通じた英語教育の強化、スーパーグローバルハイスクール、スーパーグローバル大学の認定、留学生交流の推進に力を入れています。その“グローバル人材の育成”に効果があるとして、国際バカロレアが強く推されているのです。2014年3月現在で、国際バカロレアのディプロマプログラムを実施している学校は19校しかありませんが、2018年までに200校に増やす計画を立てているほどです。
国際バカロレア導入にあたっては、下記のような意義が挙げられています。
‐グローバル人材の育成に有効な手法
(課題発見、解決能力、論理的思考力、コミュニケーション能力などが養われる)
‐国際通用性
(高校卒業から海外大学に直接入学する選択肢の拡大)
‐特色的なカリキュラム、双方向型授業(高校教育の質の向上)
‐国内外の優秀人材の獲得(大学の活性化)
教育内容ももちろんですが、世界的に認められている資格なので、どこでディプロマプログラムを修了しても、その後世界に出ていけるというのが大きな魅力の一つと言えます。
今後の動き
国際バカロレア認定校を大幅に増やすという取り組みも注目に値しますが、それ以上に私が注目したのは、今後は日本語で国際バカロレアのカリキュラムが受けられるようになる、という点です。全ての授業が英語となると、日本に生まれ、日本語に囲まれて育った子ども達にはかなりハードルが高くなります。国際バカロレアのカリキュラムが、母国語で受けられるようになることによって、より多くの子ども達に門戸が開かれるようになるので、この動きは歓迎できると思いました。
大学が変われば教育が変わる
湘南ゼミナールの先生もおっしゃっていましたが、まずは大学入試の仕組みが変わることで、その下の教育は大きく変わる、とのことです。現在の教育システムは、大学入試を視野に構築されている為、まずは大学を変えることが一番手っとり早いと。同じことをおっしゃっている教育者が他にも沢山いらっしゃいますね。国際バカロレア修了者を受け入れる大学が増えれば、詰め込み式の受験勉強も変わり、学校で教える内容も少しずつ変わってくる、ということでしょうか。
日本では未知数な部分も多い国際バカロレアですが、今後の流れとして注目に値すると思います。もっと国際バカロレアについて知りたい!という方は、文部科学省のページをご参照ください。また、こちらの本もオススメです!