今回のインタビューは・・・パプアニューギニアに10年間お住まいのMさん。ご主人と9歳&0歳の二人のお子さんと生活していらっしゃいます。パプアニューギニアでの子育て、教育環境についてお話しを伺いました。
Q:子育て・教育環境で、良いと思うところを教えて下さい。
子育ては、親だけの問題でなく、全ての家族や村人などのコミュニティがみんなで一緒に育てるという感覚があります。困った時も助け合い、誰かが面倒をみてくれるので、子育てが楽です。
Q:子育て・教育環境で、改善して欲しいと思うところを教えて下さい。
学校に関しては、教科書などが揃っておらず、どのように段階を踏んで教えてもらっているのかがよく分からないです。日本と比較すると、算数などはとてもレベルが低く感じます。基準などがほとんどない状態ですので、やはり基準が欲しくなります。
公立の学校では、よく給与や待遇などをめぐって教師のストライキが起こったり、先生の都合で授業がなくなることがあります。学校や学校制度の問題ですが、これらがなくなることを望みます。
子どもを取り巻く環境に関して言うと、治安があまりよくないので、子供たちの送り迎えが必要です。子どもたちが自分で学校に行き来したり、近所の友達と気軽に遊べるくらいの治安が良くなって欲しいと願っています。
Q:幼稚園・学校教育における指導者や制度の違いはありますか?
幼稚園は私立のみです。指導内容は、学校ごとや先生によっても全く違うように感じます。3年ほど前から無料教育に変わりましたが、まだ施設やシステム自体が追いついていないので、教室のキャパシティなどの問題から、学校に行けない子もいます。指導内容よりも、まずは学校に行けるか行けないかが問題になります。
Q:幼稚園・学校外における環境の違いはありますか?
学校行事への親の参加率が高いです。職場も学校行事に対して、休暇や時間を融通してくれるところが多いと思います。ベビーシッターなどのサービスはまたありませんが、共働きの夫婦は、親戚や家族などにベビーシッターを頼むことが多いです。こちらは、基本的に残業はなく、朝は8時くらいから夕方は5時までに終わるところがほとんどです。
Q:親のしつけ、子育て・教育における行動及び考え方の違いはありますか?
塾なども普及していないので、学業に関しては、親はそれほど熱心ではないと思います。学校で勉強と、宿題がでればやる程度です。それに比べ、水汲み、畑仕事などの家の手伝いは、当たり前のようにやらされます。実際、学校を出てから定職に着ける人はごく僅かなので、そういう意味では、将来的に自給自足的な生活ができるよう、家の手伝いの方が勉強よりも優先される状態です。
Q:将来、お子様にはどのような大人になって欲しいと思いますか?また、その為に行っていることはありますか?
欲を言ったらきりがないですが、まずは健康であって欲しいです。そして、自分の生きる術を学んで行ってほしいと思います。この国では、日本のように親から与えられるものや刺激が少ないです。何かしたいことがあっても、誰かが何かをしてくれるのを待っているのではなく、どうしたらそれに一歩でも近づけるか、というのを探していく力をつけてもらいたいと思っています。そのために具体的に何をするか?というと、はっきりとは分かりませんが、欲しがるものを買って与えるのはなるべくしないようにしようと思っています(そんなお金もありませんし、実際パプアニューギニアにあるものも限られています)。
後は、広い視点でいろいろ考えるようになってほしい。ここでは、ほとんどの人がキリスト教徒なので、キリスト教を中心にしたものの考えが一般的ですが、世界には他の宗教もあります。キリスト教以外の宗教に基づいた生活もあるということを理解して欲しいと思っています。
Q:海外に住んでいるからこそ、子育て・教育で気をつけていることがあれば教えて下さい。
日本語はやはり覚えてもらいたいので、日常会話をなるべく日本語で行うようにしています。また、ひらがな、カタカナを教えたり、日本語の絵本を読んであげたりしています。
Q:日本の子どもと、お住まいの国の子どもを見て、大きく違うと感じる点があったら教えて下さい。
こちらの子どもは、とにかく明るく元気です。おもちゃを買ってもらえないので、身の周りにある草、木、木の実などを使って、自分でおもちゃを作って遊びます。ナイフや斧なども小さいうちから持たせています。もちろん怪我もしますが、それでもそれを取り上げることはしません。勉強はあまりしない、本もないし、電気もないので、自然の中で遊ぶ子どもばかりです。
パプアニューギニアという国の名前は聞いたことがありましたが、どのような国なのか全く知らなかった為、今回のMさんのお話をとても興味深く伺いました。日本とは全く違った環境の中で、子ども達が逞しく生活している様子が目に浮かびます。“どうしたら自分のしたいことに一歩でも近づけるのか、探っていける力をつけて欲しい”というMさんの言葉が胸に響きました。
子ども達が好奇心を持って、諦めずに前に進める力をつけるには、大人達はどういう関わり方をするのが良いのか。CUIRO Japanも引き続き考えて行きたいと思います。Mさん、貴重なお話しをありがとうございました!
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