IB勉強会@関西学院大学丸の内キャンパス

先日、MamaBA主催のIB(国際バカロレア)勉強会に参加してきました。大阪にある関西学院大阪インターナショナルスクール中等部・高等部のIBプログラムについて、関西学院千里国際中等部・高等部の校長である眞砂先生にお話しを伺いました。千里国際キャンパスには、関西学院大阪インターナショナルスクール(OIS)と、関西学院千里国際中等部・高等部の2つの学校があり、2つの学校でありながら、1つの教育目標を掲げて教育を実践していて、OISとSISの間では授業交流も行われています。ちなみに、IBプログラムが提供されているのはOISの方です。

http://www.senri.ed.jp/site/index.php

今回の勉強会は、日曜日の10:00スタートという時間にも関わらず、約40名の方が参加されていました。父親の参加もチラホラ。参加者の人数を見ても、IBへの関心の高まりを窺わせます。

アクティヴラーニングの1つであるIB

まず眞砂先生が言われたのは、知識を詰め込んで吐き出すという日本教育の限界についてでした。危機感を持ち始めた文科省もアクティヴラーニングについての研究や実践を始めているそうですが、そのうちの1つがIBプログラムです。IBプログラムの中でも、今回はDP(高校向けディプロマプログラム)についてお話頂きました。

IB 1

DPでは、母国語、外国語、社会、数学、科学、芸術などの科目に加えて、以下のような要件を満たすことが求められます。

1.Extended Essay (課題論文)
学習した科目に関連した研究課題。日本語の場合は8,000字

2.Theory of Knowledge
最低100時間の学習。理性的な考え方と客観精神を養う。

3.Creativity/Action/Service(創造性・活動・奉仕)
教室外の広い社会で経験をつみ、様々な人と協働作業をすることにより、協調性を学ぶ。最低150時間。

主体的に学ぶ人を創るというIBの理念通り、知識を詰め込むだけの勉強ではなく、自ら考える力や行動力評価されるということですね。勉強自体も、課題や宿題が多く、大変ハードな内容だそうです。

卒業生の話

当日は眞砂先生のお話し以外に、SISの卒業生のお話も伺うことができました。お話頂いたのは、現在早稲田大学1年生のIさんです。

Iさん曰く、SISでは歴史の学び方もユニークだったそうです。江戸時代のある時期を学ぶ時、その時期に関する本や教科書を読んでくることが課題になったのですが、教材の指定はなかったのだとか。日本語の本、英語の本、海外の教科書など、学生が教材を選んで事前自習をし、教室に持ち寄ることで、色々な視点を持ち寄ることができたそうです。知識を覚えるだけではなく、興味があるところを深堀できたのが、SIS、OISの良いところだとお話されていました。(IさんはSISの生徒でしたが、OISの授業もいくつか取っていたそうです)

IB 2

Iさんは、カルモニー(カルチャー&ハーモニー)という幼児教育(英語・多様性)のサービスを提供しています。大学に通いながら幼児教育をしているのは、SISの多様性教育、個性を伸ばす教育の影響が大きいのだとか。公立の小学校では見た目の違いや出身地の違いから浮いてしまって、なかなか周りと仲良くなれなかったIさんですが、育ってきた背景、環境が違うという前提を理解して、お互いの現地の文化を把握することによって仲良くなることができた、と話されていました。そういう意味でも、小さい頃から色んな文化や多様性に触れることの大切さを実感されていて、そういう機会を提供しているそうです。

ちなみに、OISのIB卒業生(20数名)の内、今までは2,3名程度しか日本の大学に行っていなかったそうですが、日本でのIBの広がりを受けて、昨年6月の卒業生は7名が日本の大学へ進学したとのこと。東大、イェール大の合格を蹴って、ニューヨーク大学のアブダビ校に進学した学生もいるのだとか。IBを取得すると、大学の選択肢もグローバルになって、オプションが増えますね。

今後のIBの課題

知識の活用力、探究力、コミュニケーション能力を高めていくIBのカリキュラムですが、特に日本では選択の自由度が少ない、という現状があるようです。今後、いくつかの科目が日本語で受けられるようになっても(現在は全て英語)、“この科目は日本語で、こちらの科目は英語”というような選択は極めて困難な状態とのこと。そもそも、IBを受ける生徒が少ない為、生徒の選択通りに授業を提供することが難しいのだとか。この辺りは、今後IB採用校が増える中で、改善されていくのでしょうか。

IB3

また、IB担当教員の育成も大きな課題の1つ。教科書通りに教える従来の教え方とは違い、教師の力量が問われるのがIBプログラム。現在は、海外から教員を招聘することも多いそうですが、国内での養成も始まったそうなので、今後に期待したいところです。

眞砂先生は、「日本にあるインターナショナルスクールでIBを実践している学校と、日本の一条校の交流をもっと増やして、協力体制を作っていくことも重要だと思うので、方法を模索して行きたい」とおっしゃっていました。OISとSISのように相互の授業が受けられたら、生徒にとっても刺激的ですね。

まとめ

眞砂先生は、日本の教育は高校が一番弱いと考えていらっしゃるそうで、高校での教育を一番危惧されていました。オリンピックの頃には大学入試がガラリと変わり、論述的なものが増えるので、定性的なテストをどのように評価するかの研究も進んでいるそうです。「授業の中身はIBである必要はない。高校の教育自体がアクティヴラーニングに変わっていけば良い。」とおっしゃっていのが印象的でした。

IBプログラムを初め、アクティヴラーニングのニーズは今後ますます高まっていきそうです。

This entry was posted in seminar report. Bookmark the permalink.